毒々しい色のカプセル、真っ白まんまるな錠剤。

 

プチプチと薬をシートから落としていく

瓶からザラザラと手にとって、

カップに入れてジャラジャラと糖衣を剥がしていく。

 

 

あの、わたしの日常が

また、戻ってきてしまうのか、

このまま、ばいばいできるのか

どっちが幸せ?幸福?快楽?

 

分かりきったそんなことを

ぐーるぐる ぐーるぐる

代わり映えしない病院の天井を見つめながら

ぼんやり考えるわけです。

 

 

暇(いとま)があったって

人間、録なこと考えないんだから

忙しなく、せっせと働いてた方がいいのかもね?

 

お友達とケーキをつつきながら

ケラケラ笑うのもいいけどね。

 

 

 

あーあ

極限のハッピー!は薬でしか引き出せない。引き出したい。

嫌、そんなことは無い

シラフだって、できるよ

思いかけ、無理だって悟らせて

 

 

 

ばいばい、ばいばい

 

14階建てのビルから見下ろす人や車は意外と大きい

 

決してちっぽけではない

 

狙いを定めてじゃ〜んぷ!

なんてしないけど

電線気にして

ふんわり雲を掴んでそのままとんでいけ

 

ロラゼパムランドセン、ビペリデン、デパスマイスリー、ブロン、

あなたを救ってくれたのはどれ?

 

とんで、とんで、とんで

 

震える手でなんとか用意した2万円。

 

違法はダメだよ♡♡

 

裏切りたくないんだ

本当は

 

 

 

でも

世間一般で言う「裏切り」をしないと、

保てなくて、大事なモノを失っちゃうんだ。

 

そんなの嫌だなあ

 

やっとみつけたわたしのキラキラした大事なもの

 

無くなったりしたら大変!

 

 

 

 

どうするのが正解かなあ?

 

わたし、馬鹿だから

いっつも間違えちゃうのね。

 

でもそんなこと人に聞いても

変な顔されて終わっちゃうし

どうしようね?

 

 

どうか、どうか

壊れませんように

 

私の大事なもの。だいじなの

なくしたくないの

ずっと、ずっと私の手の中で温めていたいから

 

 

もし、無くなる時がきてしまうのなら、

その時まで

どうか煌めいて

しにたい!とか、

 

おまえら嫌い!ばーか! とか、

 

 

暴言を吐いて発狂して、

女の子な女の子をして?

 

そんでさ、自分本位で生きてみたら

セックスよりも  人の大事なモノぶっ壊すよりも

ずっと、ずーっと気持ちよかったよ

 

って

だれかに教えてもらったの

 

でも結局 ぜんぶぜーんぶ壊れちゃうんだけどね?

 

失うものがあるような、ないような、

そんな人生だからこそ

できることもあるみたい。

 

 

 

 

家族とか友達とか恋人とか。

 

だあれも居なくて、

守るものも、亡くしたくないモノも無い人生。

 

ちょっとだけ、

ちょーっとだけ、羨ましいと思わない?

 

何だってできちゃうよ

 

その分、人より壊れるスピードも

ぶっ潰される可能性も増えるワケだけれど。

 

 

保守的な人生、安全な人生、皆が羨む仲良し家族。

 

 

日本の夫婦の3組に1組が離婚してるってハナシを聞いたりして

ケラケラ笑って

 

今日も、爪からはみ出した

真っ赤に塗ったネイルを眺めながら

クスクス笑って眠りにつきます。

 

 

悪いクスリなんてやってないんだからね

 

ばーか!

 

 

おやすみ、

 

 

限界だ

限界限界もう無理だよ本当に

疲れた。

もう全部疲れちゃった

 

おわってもいいかなぁ

引き止められも諭されても余計につらい

 

誰も私の事愛さないで

「死なないで」なんて言わないで

その言葉がいちばん私を追い詰める

 

ごめんなさいもう無理です

 

毎日泣くのも疲れました。

どんどん増えてくお薬を見て、お金の心配をするのもしんどい。

 

わたし、なんでこんなことにお金使ってるの?

 

皆みたいに自分のお金で好きな物買いたい

 

ぜんぶ、ぜんぶ病院代と薬代に消えてく

虚しい。悲しい。

 

 

うつが酷すぎて働けない

働かないと薬が買えない

入院しろって言われてるのに入院するお金が用意できない。

 

わたし、わたしは

なんで生きてるの?

 

本当にもう疲れたよ

おわりにしたいよ

 

つらい、つらい、つらい

もう嫌だ

苦しい、ずっと苦しいんだもん

 

自殺を止めるのは優しさなんかじゃないよ

 

誰か背中をぽんっと押して

二度と私の事なんか思い出さないで

 

 

はやく、はやく しにたいなあ疲れたなあ

わたしは私が持ってる汚い「承認欲求」のようなものを振り払いたくて、手放したくて

取り憑かれたように手を洗う。

 

 

 

むかし、昔ね

お母さんとお父さんが両手を繋いでくれて

弟はまだ赤ちゃんで

皆でお出かけしたドラマみたいなあの1ページが

時が経つほど美化されていって

もう絶対に叶わない4人の集合写真を

穴が空くくらい眺めるの

 

決して裕福な家庭じゃなかったから、

スタジオや写真館で撮ったような写真はないけれど、

それでも、それでも家族で海に行った時の写真や、夏にやった小さな手持ち花火を嬉しそうにお父さんとやってる写真はあったんだ

 

それが、それがね、

良いはずなのに、思い出って良いはずのものなのに

 

こんなのなければ良かったって思うんだよ、

ね、変でしょ

 

だけどさ、

いい思い出だって無かったら、

こんな風に思い出して 悲しくなることもないじゃない、

あの頃に戻れたらって、

過去を思い出して泣く夜はなかったんじゃないかな。

 

一定のラインから、どんと落とされるか、

低いとこから落ちっぱなしか、

だったら

落ちっぱなしの方が

感情の起伏が小さくて楽じゃんか。

 

無駄に幸せを味合わせてくれなくても良かったのに。

 

そんな悪態をつきたくなるけれど、

お母さんが悲しむようなことはしたくないし

そこまで親を憎めないので

わたしの「限界」がきたら

今日も静かに、

薬を水で流し込んで。

 

 

広いベッドに1人、

布団にくるまって 

タオルで次から次に出てくる涙を吸い込ませて

朝が来るのを待つのです

 

 

はやく、はやくふつうになれますように

 

 

気付いたら真っ赤になっていた右手首を抑えて

はやく、はやくここから出られますように。

みんなと同じところに行けますように。

 

 

わたし、

わたしは。

 

 

ただ、泣きたくないだけなのに。

 

 

それがこんなにも難しい

 

 

 

ぜんぶ、辞めちゃいたい

お母さん、お母さん

助けて

今すぐ会いたい

ぎゅって抱きしめて欲しい

 

 

夜はこわい

 

 

 

暗くて、静かで、ひとりぼっちで

 

 

真っ暗な中で

1人で薬をたくさん飲んで

頭がおかしくなりそうなぐちゃぐちゃした思考と

分裂した心をかき集めてセロテープでちぐはぐに繋ぎ合わせるみたいな

汚くて居心地の悪い感覚に

吐きそうになる。

 

 

 

 

助けて、だれか

この時間は、病院も保健センターもやってない

電話出来るところがない

 

たすけて

だれか

 

たすけて