社会との繋がり、人との鎖

ピピピピ…

 

 

 

本当のめざましの音はこんなんじゃないけれど

 

 

 

 

 

 

朝、スマホのアラームが鳴って

まだ眠剤が残った気だるげな身体と

ぼんやりとした頭で

今日の段取りを考える。

 

 

今から15分でメイクして

髪を巻いて

お洋服に着替えて

下着はこれで大丈夫かな

何分の電車に乗ろうか

 

 

今日は出勤日

 

私の仕事は

 

 

風俗。

 

 

 

わたしの唯一の、社会との繋がり

 

 

 

 

 

正気じゃやってらんないから

 

朝起きて

足早にキッチンに向かう

 

抗不安薬抗鬱剤

そしてブロンを15錠。

 

ざらざらと水で流し込んで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日の、予約の数

 

わたしの価値

 

 

汚いおじさんに抱かれるわたし

 

でも、

 

汚くて

愚かで

浅はかで

馬鹿で

なあんの価値もない人の形をしたわたしには

お似合いの毎日だね

 

友達にも

親にも

言えない仕事

 

 

 

 

 

 

イヤホンから流れるわたしのプレイリスト

 

流れる景色

 

 

薬がまだ効かない

 

 

涙が出てきた

 

 

 

はやく

 

 

はやく

 

 

 

薬、回らないかなあ

 

 

 

 

いつまで

 

 

わたしは頑張れるかな

 

 

 

あと一歩で

ほんの少しの勇気で

 

飛び込んでしまいそうになる

プラットホームは苦手。

 

 

暗い地下鉄も苦手

 

轟轟と鳴り響く

こもった電車音が怖いから

 

 

 

高いビル

 

4階以上の建物の窓。

 

 

突き破って飛び降りたら

楽になれるのかな

 

 

 

右から左から聞こえる雑音は

言葉として認識はできなくて

ざわざわといった音として 頭をぐちゃぐちゃにかき混ぜる

 

 

 

 

着いて欲しくない目的地に着く

 

汚い雑居ビル

 

 

 

ここが私の

 

 

 

唯一の

社会との繋がり